行為の記録

4章 成長の構造 - 7節 行為の記録

個々の記述の真実度: 999.3-1000
節全体の真実度: 1000
節全体の活動性: 1000

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行為の記録とは

  • (1000/1000) 行為の記録とは、これまでに個体のおこなった「ひとつひとつの行為」が、世界の進化へ影響を与える方向性と程度を決定し、そして、世界の進化へ影響を与えた方向性と程度に相応する「成長の方向性と程度」として、個体へ還元されることを表した法則です
    • 個体のおこなった行為が、世界の進化を促進させたのならば、成長の促進として個体へ還元され、世界の進化を促進させた程度が高いほどに、成長を速く促進させるように、はたらきます
    • 個体のおこなった行為が、世界の進化を停滞させたのならば、成長の退行として個体へ還元され、世界の進化を停滞させた程度が高いほどに、成長を速く退行させるように、はたらきます
  • (1000/1000) 行為の記録は、世界の進化へ与えた影響の方向性(進化の促進/停滞)によって、誠実な行為の記録(+)と、不誠実な行為の記録(-)に区分され、世界の進化へ与えた影響の程度に相応する量を逐次に記録へ加算し、加算された累積の量は「残高」として表されます
    • 世界の進化を促進させたのならば、誠実な行為の記録(+)へ加算され、促進させた程度が高いほどに、加算される量が大きくなります
    • 一方で、世界の進化を停滞させたのならば、不誠実な行為の記録(-)へ加算され、停滞させた程度が高いほどに、加算される量が大きくなります
    • 世界の進化へ影響を与えた方向性と程度が、個体へ成長の促進/退行として還元されると、還元された方向性と程度に相応する量が、残高から減算されます
    • 世界の進化を促進させた還元として個体の成長が促進されたのならば、誠実な行為の記録(+)の残高から減算され、成長を促進させた程度が高いほどに、減算される量が大きくなります
    • 世界の進化を停滞させた還元として個体の成長が退行されたのならば、不誠実な行為の記録(-)の残高から減算され、成長を退行させた程度が高いほどに、減算される量が大きくなります
    • なお、行為の記録の残高は、成長の促進/退行としてのみ個体へ還元され、成長の促進/退行以外による「他の手段」で還元される状況はありません
(1000/1000) 残高の加算/減算
(1000/1000) 残高の加算/減算
  • (1000/1000) 行為の記録は、個体から捉えると、分霊の成長の程度を規定する法則のひとつとなります
    • 全体から捉えると、世界の進化を決定する法則のひとつとなります
    • 天霊は惑星圏無形界で、人霊は地上/惑星圏無形界で、法則の適用を受けますが、動物霊には適用されません
    • 宇宙圏無形界では、行為の記録は適用されず、行為の記録に類似する上位の法則が適用されます
    • なお、個体のおこなった行為が、世界の進化へ影響を与える方向性/程度を決定し、その方向性/程度に相応する成長の方向性/程度を個体へ還元するという「行為の記録」は、構造/骨格となる不変の法則ですが、一方で、行為の記録(+)/(-)の残高は変化します
    • 加算/減算される行為の記録(+)/(-)の残高は、構造/骨格(法則)を土台として形成された「肉付け」に相当し、法則そのものではありません
(1000/1000) 法則の適用
(1000/1000) 法則の適用
  • (1000/1000) 行為の記録、自由意志、運命、の3つは、それぞれが独立した法則ではなく、原因と結果の法則に含まれる「個体の行為が世界の進化へ与える影響の法則」を、異なる側面から捉えた法則となります
    • 自由意志によって、おこなう行為の「誠実/不誠実の性質(行為の方向性)」と「誠実/不誠実の程度(行為の程度)」が選択され、おこなった行為の積み重ねによって形成された習慣/生き方が個体の有する運命の流れを造り出し、それぞれの個体の有する運命の流れが総合されて全体の運命の流れを造り出します
    • 個体のおこなった行為によって、全体の運命の「流れていく方向性」と、ある方向性へ「流れていく強さ」へ与えた影響が、行為の記録への加算として表されます
    • 個体のおこなった行為によって、全体の運命の「流れていく方向性」と、ある方向性へ「流れていく強さ」へ与えた影響から、個体へ跳ね返ってきた影響が、行為の記録からの減算として表されます
(1000/1000) ひとつの法則の側面
(1000/1000) ひとつの法則の側面
  • (1000/1000) 個体の行為が世界の進化へ与える影響の法則を構成する、行為の記録、自由意志、運命、の3つは、水面の波に譬[たと]えられます
    • 水面で自己が様々な大きさの波を順次に起こせば(自由意志による選択に基づいておこなった行為)、周囲に拡がった波(行為の記録への加算)は、必ず自己にも返って来ます(行為の記録からの減算)
    • 自己の眼前に返って来る波は、これまでに自己が起こした多くの波の影響を受けた「大きさ(成長の促進/退行の程度)」として現れますが、大きな波を起こしたからといって、すぐに大きな波が返って来るとは限らず、小さな波を起こしたら大きな波が返って来る場合もありますが、返って来た全ての波の大きさを総合すると、必ず、自己がこれまでに起こした全ての波の大きさと釣り合います
    • 水面で自己が順次に起こした様々な大きさの波は、ひとつの流れを造り出し(運命の流れ)、水面に浮かんでいる自己を流していきます
  • (1000/1000) 行為の記録は、量の加算/減算として表される法則ですが、数値で測定できる指標ではありません
    • 法則は、一定の規則性を有する方向性ですが、一方で、指標は、方向性に基づいて段階的に現れる程度を示しており、指標は、法則を土台として造り出されています

記録の加算/減算

  • (1000/1000) 行為の記録の残高は、絶え間なく加算/減算を繰り返し、常に変化しています
    • 行為をおこなう都度に、行為の有する方向性と程度に相応する量が、記録へと加算されていきます
    • ただし、あるひとつの行為によって加算される量と同等の量が、一度で減算されるとは限らず、また、行為をおこなって加算した記録が、即時に、あるいは、短期間の後に減算されるとも限りません
    • 記録の減算は、運命の流れの中で、「何時[いつ]に、どの程度の量を減算するのか」が自動的に決定されるために、自由意志によって決めることはできません
    • 記録の加算/減算には、地上と惑星圏無形界の区別がなく、生活する場に関わらず持ち越されるために、再授肉して、地上での生活を始めた時点でも、記録に残高を有しています
  • (1000/1000) 行為の記録への加算は、自己のおこなった「あらゆる行為」が対象です
    • 自覚しておこなった行為も、自覚できるものの自覚なくおこなった行為も、無自覚的に(自覚なく)おこなった行為も、積極的におこなった行為も、嫌嫌ながら消極的におこなった行為も、他者/外環境から強制されておこなった行為も、すべての行為が加算の対象となります
    • 自己のおこなった「あらゆる行為」は、自己の自由意志による自覚的/無自覚的な選択に基づいており、自由意志による選択なしに行為がおこなわれる状況はないために、自己のおこなった「ひとつひとつの行為」に相応する量が、逐次に行為の記録へ加算されています
  • (1000/1000) 行為の記録へ加算される量は、行為へ付与された活動性の程度で決まります
    • 行為の有する誠実/不誠実の性質が、世界の進化へ与えた影響の方向性(促進/停滞)を決定し、一方で、行為へ付与された活動性の程度が、世界の進化へ与えた影響の大きさ(促進/停滞の程度)を決定しています
    • 誠実な行為は、行為へ付与された「誠実な性質の活動性」の程度に相応する量が、行為の記録(+)の残高へ加算されます
    • 不誠実な行為は、行為へ付与された「不誠実な性質の活動性」の程度に相応する量が行為の記録(-)の残高へ加算されます
  • (1000/1000) 行為の記録の減算は、減算される量に相応する「個体の成長の促進/退行」として還元されるだけでなく、記録(+)の残高と記録(-)の残高で同等の量が相殺される場合もあります
    • 誠実な行為を多くおこなっていても、同時に、不誠実な行為も多くおこなっているのならば、成長は促進されないことを示しています
    • 残高の相殺は、内的成長度500台に相応する成長段階で顕著にみられ、記録(+)の残高で記録(-)の残高を相殺し、(+)/(-)の残高をともに減少させていきます
(1000/1000) 記録の増減と残高
(1000/1000) 記録の増減と残高

分霊の成長と記録の加算/減算

  • (1000/1000) 行為の記録を量的に捉えると、現在の成長の程度よりも更に成長を促進するには、成長の程度に相応する残高の減算量を必要とします
    • 現在の成長の程度が低いのならば、現在の段階から成長を促進するのに必要とする行為の記録(+)の残高の減算量は相対的に少ないです
    • 現在の成長の程度が高いのならば、現在の段階から成長を促進するのに必要とする行為の記録(+)の残高の減算量は相対的に多いです
    • これまでに行為の記録(+)の残高へ加算してきた量の総合が、成長できる程度を決定しているのです
    • 同調する活動性の程度が向上するほどに、行為へ付与する活動性の程度も相対的に高くなるために、行為の記録(+)の残高へ加算される量も多くなりますが、必ずしも、同調する活動性の程度に相応する高い活動性の程度を行為へ付与しているとは限らないために、同調する活動性の程度に相応する高い活動性の程度を、自覚して行為へ付与していくように努めることが、現在の成長の程度を向上させるように、はたらきます
  • (1000/1000) 記録(+)/記録(-)の加算/減算の量は、分霊の成長段階によって傾向がみられます
    • 内的成長度500未満に相当する成長段階では、誠実な生き方へ努めているとしても、相対的に成長の程度が低いほどに、不誠実な行為による記録(-)の加算が多く、誠実な行為による記録(+)の加算は少ない傾向にあります
    • 成長の程度が高くなるほどに、誠実な行為が増加し、行為へ付与される活動性の程度も高くなるために、記録(+)への加算量が徐々に多くなり、逆に、不誠実な行為は減少し、記録(-)への加算量は徐々に少なくなります
    • 内的成長度500台に相当する成長段階では、記録(+)/記録(-)の残高はともに、清算へ向けて減算が加速し、記録(+)/記録(-)の残高が無くなることで、成長段階に相応する学びを修了しているのならば、覚醒の段階へと移行します
    • 内的成長度600以上に相当する覚醒の成長段階では、地上で生活している期間は、清算された記録(+)/記録(-)の残高が、再度に加算/減算されるようになりますが、有形体の使用期限を迎える時点で、記録(+)/記録(-)の残高を清算し直します
(1000/1000) 成長段階と記録の増減
(1000/1000) 成長段階と記録の増減
  • (1000/1000) 成長にともなう無形体の「無象系」の活性は、記録(+)の残高を減算させるように、はたらきかけます
    • 無象系が未活性の「内的成長度500未満に相当する成長段階」では、記録(+)の残高よりも、記録(-)の残高を多く有している傾向がみられます
    • 「内的成長度500に相当する成長段階」を越えることで、無象系が活性し始めると、個体としての「摂理(愛)を構成する意図/意志」を活用する効率が向上するために、高い活動性の程度が付与された誠実な行為をおこなう頻度が多くなり、記録(+)の残高へ加算される量が増大します
    • 同時に、「誠実な愛を構成する意図/意志」を活用する効率が向上しているために、不誠実な行為をおこなう頻度は少なくなり、記録(-)の残高へ加算される量が抑制されます
    • 増大する記録(+)の残高で、記録(-)の残高を相殺できるようになり、記録(+)/記録(-)の残高が、ともに減少していきます
    • 無形体の無象系については、3章4節 無形体 #無形体の機能系統を参照してください
(1000/1000) 無象系の活性と残高の相殺
(1000/1000) 無象系の活性と残高の相殺

至言の紹介

(1000/1000)「瀞沁」
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現在の地上では
多くの者が不誠実な生き方のために
これからの長い期間を後悔と悔恨の中で
苦しまねばなりません
そして
苦しむ期間を際限なく延長するために
日々の生活へ勤[いそ]しんでいるのです

全く必要としていないのに
なぜ無用な苦しみを得ようとしているのか?
自己の内面へ問いかけてみることです
(1000/1000)「瀞沁」
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大人が子供にとって模範/手本となる
生き方をしていないのならば
その生き方の代償は大人だけでなく
子供にも背負わせているのだと
気づかなければなりません
子供は大人の行為を詳細に観察して
模倣することで学んでいくのですから

質疑応答

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行為の記録全般について

(1000/1000)

 宇宙圏無形界では「行為の記録」が適用されず、「行為の記録に類似する上位の法則」が適用されるのは、宇宙圏無形界で生活する成長段階に属している個体が、不誠実な行為をおこなう状況は極めて稀であり、行為の記録のように、誠実/不誠実の記録による残高の算出では成立しなくなるためです。

 行為の記録は、誠実な行為によって加算される記録(+)の残高と、不誠実な行為によって加算される記録(-)の残高が、互いに相殺しながら、個体の成長を決定する特性を有しています。行為の記録が適用される「世界の中で相対的に成長段階の低い者」が生活している地上/惑星圏無形界では、誠実な行為をおこなうだけでなく、不誠実な行為をおこなう状況もみられるために、おこなった誠実/不誠実な行為の頻度と程度で、成長を規定しているのです。これは、記録(+)/記録(-)の「一方の残高のみ」が増大するだけの状況では、法則が機能しなくなることを表しています。

 宇宙圏無形界で適用される「行為の記録に類似する上位の法則」では、個体の行為が世界の進化へ与える影響の方向性は「進化の促進のみ(世界の進化を停滞させない)」のために、誠実な行為によって加算される記録(+)のみで構成されており、世界の進化へ与えた促進の程度、促進させた範囲、が残高へ加算される量を決定します。

 地上/惑星圏無形界で適用される「行為の記録」と、宇宙圏無形界で適用される「行為の記録と類似する上位の法則」では、記録の構成と、加算される仕組みが異なるために、「行為の記録」の残高と「行為の記録と類似する上位の法則」の残高には互換性がありません。生活の場を地上/惑星圏無形界から宇宙圏無形界へ移行する際に、行為の記録の残高を持ち越すことはできないために、宇宙圏無形界へ生活の場を移行する前に、残高を清算しておく必要があります。これは、地上の生活で、地上/惑星圏無形界での学びの修了資格を得る「覚醒の段階」へ移行する状況も含まれています。

 そして、記録(+)のみで構成される「行為の記録と類似する上位の法則」が適用される宇宙圏無形界での生活が、分霊としての本格的な学びの開始となります。記録(+)/記録(-)の残高の増減によって成長が規定される地上/惑星圏無形界での生活は、学び始めるための準備をしているのです。

(1000/1000)

 はじめに、苦しみとは、自己の意志が有する方向性と異なる方向性を有する表現が、自己の精神で造化された際に、不自然感、違和感、矛盾感、などを感じ取ることです。苦しみの詳細については、4章2節 有形界での成長 #質疑応答の「苦しみとは何ですか?」を参照してください。

 苦しみは、行為の記録(-)の残高が減算される際に感じ取る場合がみられます。行為の記録(-)への加算や、行為の記録(+)の加算/減算は、苦しみとは関係ありません。記録(-)の残高が減算される際に感じ取る「苦しみ」は、誠実な生き方へ努め、成長を求め実践しているにも関わらず、成長の退行として記録(-)の残高が減算されるために、成長が停滞し促進されないことで感じ取ります。不誠実な生き方をしている中で、成長の退行として記録(-)の残高が減算される状況では、苦しみを感じ取りません。

 記録(-)の残高が加算されるのは不誠実な行為をおこなった場合であり、邪による加算と、悪による加算に区分できます。邪による加算では、自覚できるものの自覚なく不誠実な行為をおこない、自覚できるものの自覚なく記録(-)の残高を加算させているために、残高が減算される際にも苦しみを自覚することはない、あるいは、弱い苦しみを自覚します。一方で、悪による加算は、自覚して不誠実な行為をおこない、自覚して記録(-)の残高を加算させているために、残高が減算される際に強い苦しみを自覚します。これは、行為をおこなった際の自覚の有無が、その後に、成長の退行として還元される際の「苦しみを自覚する有無」を決定していることを表しています。邪/悪の違いについては、1章4節 概要 #質疑応答の「邪悪とは何ですか?」を参照してください。

 宇宙圏無形界での生活を始める(覚醒の成長段階へ至る)までの「地上/惑星圏無形界で生活している期間」は、これまでに自覚して、あるいは、自覚できるものの自覚なくおこなってきた不誠実な行為/生き方の代償によって苦しみ続ける期間ともいえます。この代償を支払い終えることで、成長を阻碍している無用な苦しみから解放され、今後に続く永遠の生活を通して学び成長していくためのスタートラインへ立てるのです。

 記録(-)の残高が成長の退行として還元されるのは、些細な物事に捉えられるかもしれませんが、成長を求め、修養の生活を実践していくほどに、成長の退行は余りにも重大/深刻な物事なのだと気づくようになります。成長は、多大な時間/労力を用いて修養の生活へ専心/献身し、強い意志と誠実な目的を保持し続けて同調する活動性の程度を高め維持し、高い活動性の程度を行為へ付与するように努めることで、僅かずつ促進されます。これらを常に実践し続ける困難さを明確に実感すると、僅かに成長が退行するだけでも強い苦しみを感じ取る(恐れ/怯えは感じ取りません)ようになるために、自己が不誠実な行為をおこない、記録(-)の残高へ加算させ、還元されて成長を退行させるような状況は決して容認できなくなります。修養の生活については、5章1節 修養の生活を参照してください。

(1000/1000)

 誠実/不誠実な生き方によって行為の記録の残高へ表れる明確な違いは、誠実な生き方では記録(+)の残高が累積されていくのに対して、不誠実な生き方では記録(-)の残高が累積されていく点にあります。

 誠実な生き方では、自覚して、あるいは、自覚できるものの自覚なく不誠実な行為をおこなってしまい記録(-)の残高へ加算してしまう状況もみられるものの、不誠実な行為をおこなう頻度は少なく、行為へ付与される不誠実な性質の活動性の程度も低いために、記録(-)の残高へ加算される量は少ないです。一方で、誠実な行為へ高い活動性の程度を付与するように自覚して努めている場合が多く、行為へ付与される誠実な性質の活動性の程度も同調する活動性の程度に相応する比較的に高い程度のために、記録(+)の残高へ加算される量は大きくなります。誠実な生き方では、少しばかりに増大した記録(-)の残高は豊富な記録(+)の残高から相殺され、記録(-)の残高は増大し難くなり、記録(+)の残高で記録(-)の残高を相殺しても記録(+)の残高が増大していくために、記録(+)の残高が成長の促進として還元され、成長の程度は徐々に向上していきます。

 不誠実な生き方では、自覚して、あるいは、自覚できるものの自覚なく不誠実な行為をおこなう頻度が多く、行為へ付与される不誠実な性質の活動性の程度は比較的に高いために、記録(-)の残高へ加算される量は大きくなります。一方で、誠実な行為をおこなう状況もみられるものの、誠実な行為をおこなう頻度は少なく、行為へ付与される誠実な性質の活動性の程度も低いために、記録(+)の残高へ加算される量は少ないです。不誠実な生き方では、豊富な記録(-)の残高は少しばかりに増大した記録(+)の残高から相殺され、記録(+)の残高は増大しなくなり、記録(+)の残高で記録(-)の残高を相殺しても記録(-)の残高が増大していくために、記録(-)の残高が成長の退行として還元され、成長の程度は徐々に下降していきます。

 長期的にみると、地上の生活で培[つちか]った不誠実な生き方を地獄層で永遠におこなう者はみられず、いずれは地獄層を脱出し、人霊界で誠実な生き方へ努めるようになります。人霊界の生活では誠実な行為をおこなう頻度が徐々に多くなるために、記録(+)の残高も徐々に増大していきますが、記録(+)の残高は「累積された記録(-)の残高」への相殺に用いられ、記録(+)の残高が増大していきません。人霊界の生活を経て地上へ再授肉し(地獄層から直接に再授肉はできません)、地上で再度に不誠実な生き方へ陥[おちい]ると、記録(+)の残高は増大せずに、記録(-)の残高が増大していく循環を形成し、何百年/何千年を経ても成長の程度が向上しないものの、記録(-)の残高は徐々に累積していくようになります。再授肉については、4章9節 再授肉を参照してください。

(1000/1000) 生き方による行為の記録の残高/成長の程度の推移
(1000/1000) 生き方による行為の記録の残高/成長の程度の推移

 今回以前の地上の生活では誠実な生き方へ努めていたとしても、今回の地上の生活では不誠実な生き方へ陥[おちい]ってしまう可能性は、地上で生活する誰もが有しています。同様に、今回以前の地上の生活では不誠実な生き方をしていたとしても、今回の地上の生活では誠実な生き方へ努めることもできます。記録(+)の残高へ加算するのも、記録(-)の残高へ加算するのも、自己が自由意志による選択に基づいて絶え間なくおこなう行為が決めているという点へ留意し、ひとつひとつの行為をおこなう目的を明確に自覚したうえで、行為をおこなうように努めるのならば、成長の促進へとつながるようになります。

(1000/1000)

 経験へ保存されている習慣は、習慣の有する誠実/不誠実の性質が造化される表現の誠実/不誠実の性質を決めており、表現の有する誠実/不誠実の性質によって、行為の記録(+)、あるいは、記録(-)のどちらの残高へ加算されるのかが決まります。

 習慣の強さは、同調する活動性の程度や、物質の心から受ける誘惑による干渉の程度とともに、精神で造化する表現(加えて、おこなう行為)へ付与する活動性の程度に影響を与えており、表現へ付与された活動性の程度が、記録の残高へ加算される量を決定しています。表現へ付与する活動性の程度と習慣の強さのつながりについては、3章9節 精神 #質疑応答の「習慣の強さと表現へ付与される活動性の程度には、どのようなつながりがありますか?」を参照してください。

記録の加算/減算

(1000/1000)

 記録(+)の残高へ加算されるのか、あるいは、記録(-)の残高へ加算されるのかは、行為の有する誠実/不誠実の性質で決まり、行為をおこなう目的に占める誠実/不誠実の割合は関係していません。

 行為の目的に占める「誠実な性質を有する目的」の割合が、どれほどに大きかったとしても、僅かにでも「不誠実な性質を有する目的」が含まれているのならば、おこなわれた行為は不誠実な性質を有するようになります。不誠実な性質の行為では、記録(-)の残高のみへ加算され、記録(+)の残高へは加算されません。行為の目的が「誠実な性質を有する目的」で占められている場合にのみ、言い換えると、僅かにでも「不誠実な性質を有する目的」が含まれていない場合にのみ、記録(+)の残高へ加算されます。

 ただし、行為をおこなう目的に占める誠実/不誠実の割合は、記録(-)の残高へ加算される量に影響を与えています。例として、周囲の者たちが危害を加えられないように、止むを得ず、相手へ暴力をはたらかねばならない状況があった場合では、「周囲の者たちを守るため」という誠実な内容が目的のほとんどを占めていたとしても、「相手へ暴力をはたらく」という不誠実な内容が含まれているために、その行動は不誠実な性質を有するようになります。そのため、記録(+)の残高には加算されずに、記録(-)の残高のみへ加算されますが、目的へ含まれている不誠実な内容が占める割合は僅かなために、記録(-)の残高へ加算される量は比較的に少なくなります。

(1000/1000) 行為の目的に占める誠実/不誠実の割合と行為の記録
(1000/1000) 行為の目的に占める誠実/不誠実の割合と行為の記録

 更に、行為の目的に不誠実な内容を含んでいる場合には、行為をおこなう目的が「不誠実である」と自覚している有無によっても、記録(-)の残高へ加算される量が異なります。行為をおこなう不誠実な目的を自覚しているのであれば、比較的に高い不誠実な活動性の程度が付与され、記録(-)の残高へ加算される量は大きくなります。一方で、行為をおこなう不誠実な目的を自覚できるものの自覚していないのであれば、比較的に低い不誠実な活動性の程度が付与され、記録(-)の残高へ加算される量は小さくなります。結果として、行為の記録の残高へ加算される量は、行為の目的に占める誠実/不誠実の割合によって決まる量と、行為をおこなう目的への自覚の有無によって決まる量の総合となります。

 また、実際には不誠実な行為(行為の目的に不誠実な内容を含む)を、不誠実な行為と気づかない状況だけでなく、誠実な行為と信じて/思い込んでおこなった場合でも、記録(-)の残高へ加算されます。自己は誠実な行為(行為の目的に不誠実な内容を含まない)と自覚しているものの、自覚できるものの自覚なく行為の目的に不誠実な内容が含まれているために不誠実な行為をおこなっており、おこなった行為には不誠実な性質の活動性が付与されています。不誠実な性質の活動性が付与されているのならば、記録(-)の残高へ加算されますが、加算される量は比較的に少ないです。

 この質疑応答に関連する内容には、5章6節 愛の行為 #質疑応答の「自己は愛の行為をおこなっていると信じているのに、実際には、不誠実な行為となっている場合はありますか?」がありますので参考にしてください。

(1000/1000) 行為の目的への自覚と記録の加算量
(1000/1000) 行為の目的への自覚と記録の加算量

(1000/1000)

 行為の記録への加算は、自己が直接的におこなった行為に基づいて加算される場合と、他者がおこなった行為へ間接的に関与して加算される場合があります。どちらの場合であったとしても、自己の自由意志で自覚的/無自覚的に選択したうえで、行為をおこなって(関与して)います。

 他者がおこなった行為へ間接的に関与して加算される場合の例として、食肉用に脊椎動物を殺めた際に、直接に殺めた者の「記録(-)へ加算される量」の一部が、肉を食べる者たちの記録(-)へ加算されます。肉を食べる者たちは、直接に脊椎動物を殺めたのではありませんが、自身の自由意志で肉を食べると選択したうえで、肉を食べる行為をおこなっているために、その選択/行為に相応する量が加算されるようになるのです。

 加えて、他者のおこなう不誠実な行為を誠実な行為と信じ込み、自己は誠実な目的で他者を支援した場合も、他者のおこなった不誠実な行為によって他者の「記録(-)へ加算される量」の一部が、自己の記録(-)へ加算されます。他者のおこなう不誠実な行為を誠実な行為と信じ込んでしまう誤認の状況は、他者のおこなう物的な発言/行動そのものへ意識が向き、発言/行動をおこなう目的を捉えていないために生じています。自己が誠実な目的で他者へおこなった支援そのものには不誠実な性質の活動性は付与されていないために、記録(-)への加算はなく、他者のために支援したことで自己の記録(+)へ加算されます。しかし、支援した結果として、他者のおこなう不誠実な行為を手助けしているために、他者のおこなった不誠実な行為によって他者の「記録(-)へ加算される量」の中で、手助けに相応する量が自己の記録(-)へ加算されます。例として、国政の選挙で、候補者へ投票して為政者に選出(当選)させた場合も、為政者が在任中におこなった不誠実な行為によって為政者の「記録(-)へ加算される量」の一部は、投票者の記録(-)へ加算されます。

 逆に、他者のおこなう誠実な行為を自己が誠実な目的で支援した場合には、他者のおこなった誠実な行為によって他者の「記録(+)へ加算される量」の一部が、自己の記録(+)へ加算されます。この状況は、自己を他者/全体の成長へ役立てる愛の行為、自己が他者/全体の成長を阻碍しない愛の行為とも密接に関連しています。自己を他者/全体の成長へ役立てる愛の行為は、他者の記録(+)への加算を促すと同時に、他者のおこなった誠実な行為によって他者の「記録(+)へ加算される量」の一部が自己の記録(+)へ加算され、また、他者のために愛の行為をおこなったことで自己の記録(+)への加算にもつながります。一方で、自己が他者/全体の成長を阻碍しない愛の行為は、他者の記録(-)への加算を抑制すると同時に、他者のために愛の行為をおこなったことで自己の記録(+)への加算にもつながります。愛の行為については、5章6節 愛の行為を参照してください。

 他者の「行為の記録へ加算される量」の一部が自己の行為の記録へ加算される状況は、記録(+)への加算でも、記録(-)への加算でも、自己の自由意志に基づく行動の選択によって構築される「自己/他者のつながり」が、他者のおこなった行為へ間接的に関与して加算される状況を造り出しているのです。

(1000/1000) 他者の行為への支援と自己に加算される記録
(1000/1000) 他者の行為への支援と自己に加算される記録

 地上で生活している期間は、自己が不誠実な行為をおこなわなくても、一切に行為の記録(-)へ加算されなくなる状況は稀です。自己の食べる食物/食材、使用する日用品/乗物/家電製品、着る衣服、身に着ける化粧品/香水/装飾品、などを自己が入手するまでの生産/製造/運搬/保管/販売される過程で、屠殺、搾取、虐待、差別、などの不誠実な行為がおこなわれ、その代償の一部を負うために行為の記録(-)へ加算されるのです。また、生産/製造/運搬/保管/販売される過程で、直接に不誠実な行為がおこなわれていなくても、それらの過程で用いられた石炭、電気、ガス、石油、燃料、肥料、鉱物、植物、などが採掘/栽培/精製される際に不誠実な行為がおこなわれている状況も頻繁にみられます。

 特に、地上社会でサプライ・チェーン(供給連鎖)と呼ばれる企業/事業者の広大/長大なつながりは、上位の大企業によって設定された価格(製品の売値や原材料の仕入値)、規格、供給量、などの皺寄[しわよ]せが、下位へ伝わるほどに大きくなり、最下層付近では、児童労働、極低賃金、超長時間労働、劣悪な労働環境、自然環境への過剰な負荷/汚染、などを生み出しており、深刻な貧困/搾取/暴虐/疾病の蔓延へもつながっています。観察/考察する範囲を拡大し、物事の相互のつながりを把握していくほどに、地上の生活で一切に行為の記録(-)へ加算されないようにするのは極めて困難なのだと気づくようになります。そして、自己の負担する代償は、地上/惑星圏無形界で生活している期間に必ず支払わねばなりません。

 自己が直接的におこなった行為に基づいて加算されたとしても、他者がおこなった行為へ間接的に関与して加算されたとしても、行為の記録には、地上社会でみられる「消滅時効(あらかじめに設定された期間が経過することで履行義務の免除あるいは権利行使の消滅)」がありません。誠実な行為をおこなったのならば、いずれ必ず成長の促進として還元され、一方で、不誠実な行為をおこなったのならば、いずれ必ず成長の退行として還元されます。

(1000/1000)

 行為の記録へ加算される量は、成長の程度や行為の内容に関わらず、行為へ付与された活動性の程度で決まります。成長の程度は、行為へ付与する活動性の程度へ影響を与えますが、同じ性質(誠実/不誠実)の活動性を同等の程度に付与された行為をおこなえば、行為の内容に関係なく、行為の記録の残高へ加算される量は同じとなります。誠実な行為をおこなえば、誠実な行為の記録(+)へ加算され、不誠実な行為をおこなえば、不誠実な行為の記録(-)へ加算されます。行為の目的/内容は、行為の記録の残高へ加算される量へ直接に関係していませんが、行為へ付与する活動性の程度に影響を与えています。

 行為の有する、内容、程度、性質、へ影響を与える要因には、成長の程度、同調する活動性の程度、行為への集中の程度、行為をおこなう目的、意志の強さ、があります。

 成長の程度は、行為へ付与する活動性の程度へ影響を与えており、日常の中で、頻繁に行為へ付与する活動性の程度を決定しています。自己が現在の成長段階で有する活動性の程度が、日常生活を通しておこなう行為に付与されている活動性の程度の「ほぼ平均」を示しています。成長の程度と、同調する活動性の程度のつながりについては、4章3節 内的成長度を参照してください。

 同調する活動性の程度は、行為へ付与する活動性の程度へ影響を与えており、行為へ付与する活動性の程度の上限を決定します。ただし、天使たちの多大な支援/援助によって、同調する活動性の程度よりも高い活動性の程度が行為へ付与される場合もあります。

 行為への集中の程度は、行為へ付与する活動性の程度へ影響を与えており、同調する活動性の程度を行為へ付与する活動性の程度の上限として、上限までの範囲内で付与する活動性の程度を決定します。行為へ意識を集中しておこなうほどに、上限に近い活動性の程度を付与しやすくなり、逆に、意識が散漫なままにおこなわれる行為には、上限よりも大幅に低い活動性の程度が付与されやすくなります。

 行為をおこなう目的は、行為の内容、行為の性質、へ影響を与えます。行為の目的には、自由意志による「おこなう行為」の選択(行為をおこなう意志の方向性)、経験に保存されている習慣の性質/強さ、などが含まれています。行為をおこなう目的が誠実であるのならば、行為の内容は誠実の性質を有するようになり、付与される活動性は、活動性の程度に関わらず、誠実な性質の活動性となります。逆に、行為をおこなう目的が不誠実(利己的/自己中心的)であるのならば、行為の内容は不誠実の性質を有するようになり、付与される活動性は、活動性の程度に関わらず、不誠実な性質の活動性となります。また、行為の目的は、必ず誠実/不誠実のどちらか一方、あるいは、両方の性質を有しており、誠実/不誠実の性質を有していない目的はありません。目的が誠実/不誠実の両方の性質を有している場合には、行為の内容全体は不誠実の性質を有していることになります。

 意志の強さは、同調する活動性の程度、行為への集中の程度、へ影響を与えます。行為をおこなう目的が誠実であるのならば、行為をおこなう意志が強いほどに、同調する活動性の程度を高めやすくなり、更に、行為へ意識を集中する程度も高くなるために、同調する活動性の程度に相応する誠実な性質を有する高い活動性の程度を付与しやすくなります。逆に、行為をおこなう目的が不誠実であるのならば、同調する活動性の程度を低下させるようにはたらき、更に、経験の機能特性へ保存されている「不誠実な性質の表現を造化する習慣」を喚起して習慣を強めるようになり、強められた習慣によって表現へ不誠実な性質を有する高い活動性の程度を付与しやすくなります。なお、不誠実な性質の行為は、外環境の物事/現象や、他者のおこなった行為などへ自覚して、あるいは、自覚できるものの自覚なく反応しておこなわれるために、不誠実な性質の行為をおこなうことへ意識を集中しているのではなく、物事へ熱中していることになります。意識の集中は、常に、誠実な行為に対してのみおこなわれます。集中/熱中の違いと、行為/物事の違いについては、5章6節 愛の行為 #質疑応答の「意識の集中と、物事への熱中は同じですか?」を参照してください。

 なお、行為の内容/程度/性質のそれぞれは、世界の進化に対して、下記を表しています。世界の進化については、2章2節 大霊を参照してください。

  • 行為の内容(行為の有形的/無形的な内容)は、世界の進化へ与える「影響の内容」を表しています
  • 行為へ付与された活動性の程度は、世界の進化へ与える「影響の大きさ」を表しており、行為へ付与する活動性の程度が高いほどに大きな影響を与えます
  • 世界の進化へ与える影響の大きさと、与える影響の内容が、世界の進化へ与える「影響の範囲」を表します
  • 行為の性質(行為の有する誠実/不誠実の性質)は、世界の進化へ与える「影響の方向性」を表しており、誠実な性質の行為は進化を促進し、一方で、不誠実な性質の行為は進化を停滞させるように、はたらきます
  • 誠実な性質の行為へ高い活動性の程度が付与されるほどに、世界の進化を大きく促進させるように、はたらき、一方で、不誠実な性質の行為へ高い活動性の程度が付与されるほどに、世界の進化を大きく停滞させるように、はたらきます
(1000/1000) 行為へ影響を与える要因と行為
(1000/1000) 行為へ影響を与える要因と行為

(1000/1000)

 誠実な生き方へ努めていても、成長の程度が低いほどに自覚できるものの自覚のない不誠実な行為が多くみられ、また、自覚できるものの自覚なくおこなわれる不誠実な行為に対しても、行為の記録(-)の残高へ加算されますが、これは行為の記録へ加算される状況の一部のみを捉えている点に留意してください。大霊の法則(行為の記録を含む)は、成長の程度に関わらず、常に平等に適用されます。

 行為の記録へ加算される量は、本質的には、行為へ付与された活動性の程度で決まります。成長の程度に関係なく、誠実な行為をおこなった場合には、誠実な性質の行為へ付与された活動性の程度が、記録(+)へ加算される量を決定し、同様に、不誠実な行為をおこなった場合には、不誠実な性質の行為へ付与された活動性の程度が、記録(-)へ加算される量を決定しています。ただし、不誠実な行為をおこなった場合には、記録(-)へ加算される量は、行為へ付与された活動性の程度だけでなく、成長の程度も影響を与えています。なお、誠実な行為をおこなった場合には、記録(+)へ加算される量は、行為へ付与された活動性の程度のみで決まり、成長の程度は影響を与えていません。

(1000/1000) 行為をおこなう自覚の有無と加算量
(1000/1000) 行為をおこなう自覚の有無と加算量

 成長の程度が高くなるほどに自己の行為を内省する程度も向上しているために、自覚できるものの自覚なく不誠実な行為をおこなう頻度は減少し、同時に、自覚して「不誠実な行為をおこなわない」ように制御する程度も高くなります。自覚して不誠実な行為をおこなう頻度は成長の程度と関係しませんが、「不誠実な行為をおこなわない」ように制御する程度が高いにも関わらず、自覚して不誠実な行為をおこなったのならば、不誠実な行為へ付与された「不誠実な性質の活動性の程度に相応する量」が記録(-)へ加算されるのに加えて、「成長の程度に相応する量」が記録(-)へ加算されます。これは、成長の程度が高いほどに、自覚して不誠実な行為をおこなった際に記録(-)へ加算される量が、不誠実な行為へ付与された「不誠実な性質の活動性の程度に相応する量」は比較的に少ないものの、「成長の程度に相応する量」は極めて大きくなる状況を表しています。

 なお、上記の内容は、誠実な生き方へ努めている場合にのみ当てはまり、不誠実な生き方をしている場合には当てはまりません。不誠実な生き方では、成長の程度に関わらず、不誠実な行為の造化を制御することなく、自覚して、あるいは、自覚できるものの自覚なく不誠実な行為を日常的におこなう(不誠実な行為をおこなう頻度が極めて高い)ためです。誠実な生き方へ努めている場合に比べて、不誠実な生き方で記録(-)へ加算される量は、ひとつひとつの行為による加算量は必ずしも大きいとは限りませんが、不誠実な行為をおこなう頻度が極めて高いために、累積の加算量は誠実な生き方をしている場合とは比較にならないほどに大きくなります。

(1000/1000) 成長の程度と累積の加算量
(1000/1000) 成長の程度と累積の加算量

(1000/1000)

 愛の行為をおこなうことで行為の記録(-)の残高へ加算される状況もみられます。おこなった行為の結果から捉えるのならば、表面的には愛の行為にみえるものの、実際には不誠実な行為だったといえます。愛の行為については、5章6節 愛の行為を参照してください。

 表面的には愛の行為にみえる不誠実な行為の例として、他者の手助けをしているのに、その手助けにみられる行動の粗雑さ、乱雑さ、騒々しさ、などによって、手助けすることによる記録(+)への加算量よりも、行動の粗雑さ、乱雑さ、騒々しさ、などによる記録(-)への加算量が上回り、両者の加算量を合計すると、記録(+)への少ない加算量が記録(-)への多い加算量から差し引きされて、他者の手助けをしたことで、記録(-)の残高を増大させているだけという場合もみられます。他者の手助けをおこなうという自覚のある誠実な性質の目的に基づく行動に加えて、自覚できるものの自覚のない利己的/自己中心的で不誠実な性質の目的に基づいて行動しているのです。なお、この状況は、あるひとつの行為をおこなうのに、誠実/不誠実の目的が混在しているのではありません。本人は自覚のある誠実な性質の目的に基づいて他者の手助けを申し出ている(1つ目の行為)のですが、実際に手助けをおこなう過程で、自覚できるものの自覚のない不誠実な性質の目的に基づいて行動している(2つ目以降の行為)のです。

 ただし、このような状況がみられるのは、不誠実な生き方をしている者に限られ、誠実な生き方をしている者にはみられません。誠実な生き方をしている者は、常に丁寧な行動をおこなうように努めているために、粗雑、乱雑、騒々しい行動をしないのです。

(1000/1000)

 先に記録(+)、あるいは、記録(-)の残高を減少させる状況へ遭遇してから、その埋め合わせとして、後で相反する記録の残高へ加算させる状況へ遭遇することはありません。行為の記録は、おこなった行為に対してのみ適用され、未だおこなっていない行為には適用されません。行為の記録に「先払い」はないのです。

 行為の記録は、自己が世界の進化へ影響を与えたことで残高へ加算され、その反映として、成長の促進/退行で還元され、残高から減算されます。相応する影響を加えれば相応する反映が返って来るのであり、先に反映が返って来てから影響を加える状況はありません。これまでにおこなった行為によって加算させた記録の残高が減算するように法則が「はたらく」のであり、あらかじめに残高を減算させてから、その後に残高を加算させるように法則が「はたらく」状況はないのです。行為の記録はクレジットカードで買い物をすることへ譬[たと]えられ、先にクレジットカードを利用して買い物をおこなった後に、利用した金額が請求され支払う(後払い)のであり、プリペイドマネーのように、先に支払い/残高のチャージをしてから買い物をする(先払い)のではありません。

 これまでにおこなった行為によって加算させた記録の残高が減算するように法則が「はたらく」ために、行為の記録には、先に自己の成長が促進したから、後で記録(+)へ加算させる誠実な性質の行為を必ずおこなわなければならい、逆に、先に自己の成長が退行したから、後で記録(-)へ加算させる不誠実な性質の行為をおこなってもよい、などがみられないことを表しています。

 なお、書物などで「埋め合わせの法則/原理」と表現されている内容の本質は、物的な生活での自己に都合の悪い艱難辛苦が無形的な成長を促し、逆に、自己に都合の良い利己的/自己中心的な生活や慢心/驕[おご]りが成長を退行させることを指しており、行為の記録の先払いを表しているのではありません。また、埋め合わせの法則を、生活の中で自己に都合の良い「浮き」の期間があれば、次に、自己に都合の悪い「沈み」の期間が訪れ、浮き沈みを繰り返して相互に埋め合わせし、生活全体としては良くも悪くもないという内容として捉えられている場合も多くみられますが、これは有形的認識が大幅に優勢なために起きる誤認です。生活に浮き沈みがみられるのは、自己に都合の良い「浮き」の期間に慢心/驕[おご]りを有してしまうために、その後に徐々に沈んでいき、逆に、自己に都合の悪い「沈み」の期間に生き方を省みて修正していくために、その後に徐々に浮いていくだけであり、常に自己の生き方を省みて成長を求める修養の生活を実践しているのならば、「浮き/沈み」という自己に都合の良い捉え方そのものをしなくなります。修養の生活については、5章1節 修養の生活を参照してください。

地上の生活での加算/減算

(1000/1000)

 行為の記録(+)/(-)の残高の減算は、成長の促進/退行としてのみ本人へ還元され、残高の減算が、遭遇する出来事を直接に造り出す状況はありません。記録(+)の残高の減算によって良い出来事へ遭遇し、記録(-)の残高の減算によって悪い出来事へ遭遇するのではないのです。

 地上社会で「因果応報」あるいは「カルマ」と呼ばれている内容は、今回の地上での生活だけでなく、これまでの地上/無形界の生活でおこなってきた善い行為(誠実な行為)が積み重ねられ良い出来事として還ってくる、あるいは、悪い行為(不誠実な行為)が積み重ねられ悪い出来事として還ってくると捉えられている側面がみられます。この積み重ねとは、自己の誠実/不誠実な生き方によって自身で造り出した「運命の流れ」を指しており、行為の記録(+)/(-)への加算による残高の増大を表しているのではありません。同様に、良い/悪い出来事として還ってくるとは、自身で造り出した運命の流れが遭遇させている状況を指しており、行為の記録(+)/(-)の残高からの減算を表しているのではありません。

 これまでに地上/無形界(人霊界あるいは地獄層)での生活でおこなってきた誠実な行為は記録(+)の残高に加算され、残高からの減算が成長の促進として還元されます。不誠実な行為は行為の記録(-)の残高に加算され、残高からの減算が成長の退行として還元されます。同時に、これまでに地上/無形界での生活でおこなってきた誠実/不誠実な行為は個体の運命の流れを形成して、流れの方向性や流れの強さを決定します。この運命の流れが、今回の地上で生活を始める前に事前に決めていた内容(地上での目的/役割)や、今回の地上生活で自己が造り出している内容(ひとつひとつの行為)と組み合わさり総合されて、今回の地上生活で自己に物的な良い出来事や悪い出来事へ遭遇させているのです。

 例として、記録(-)の残高の減算によって、事故、疾病、怪我、不幸、不遇、貧困、苦境、逆境、などの「自己に都合の悪い状況」が起きることはありません。自己に都合の悪い状況が起きるのは、地上で生活する前に「成長へとつなげるために遭遇する」と決めていたか、あるいは、自己のおこなってきた不誠実な行為の結果として自身で造り出しており、どちらも運命の流れへ影響を与え、流れの必然として現れています。自己のおこなった不誠実な行為によって行為に相応する量が記録(-)の残高へ加算され、同時に、おこなった不誠実な行為によって形成した運命の流れが自己に都合の悪い状況を造り出しているのです。なお、物的な富の獲得、裕福、楽境、順境、などの「運命の流れ」の中で現れる「自己に都合の良い状況」は、自己のおこなってきた誠実な行為の結果として自身で造り出したとは限らず、地上で生活する前に「成長へとつなげるために遭遇する」と決めていた「利己性/自己中心性/欲望に打ち克つための切っ掛け」として現れている場合もあれば、一方で、自己のおこなってきた不誠実な行為の結果として自身で造り出した「安逸/怠惰/怠慢への誘[いざな]い」として現れている場合もあります。

 個体の有する運命の流れは、これまでに自己のおこなった行為が直接に造り出している流れに加えて、地上での目的/役割、家庭/職場/学校/地域社会/国家/惑星などの共同体(全体)の有する運命の流れ、絶え間なく逐次におこなっている誠実/不誠実な行為、などが影響を与えています。

(1000/1000) 行為と行為の記録/運命/遭遇する状況のつながり
(1000/1000) 行為と行為の記録/運命/遭遇する状況のつながり

(1000/1000)

 はじめに、他者が自己を殺して(他殺)、自己が地上での生活を終える(有形体の使用期限を迎える)のが、自己の有する行為の記録(-)の残高が減算されるのと関連していることについては、3章5節 有形体 #質疑応答の「他殺が有形体の使用期限とは、どうしても納得できないのですが?」を参照してください。

 他殺によって自己が地上での生活を終える状況が、自己の有する記録(-)の残高が減算される(成長の退行として還元される)状況と、どのように関連しているのかを、地上で生活する者が知ることは大霊より許可されていません。無形界では、他殺と「記録(-)の残高からの減算」のつながりは、8次元以上の認識の程度で理解できるようになります。地上で生活する者が有することのできる認識の程度は7次元が上限となるために、もしも、地上で生活する者に、他殺と「記録(-)の残高からの減算」のつながりを知ることが大霊より許可されていたとしても、理解はできないのです。

 不誠実な行為によって加算された記録(-)の残高は、残高が減算する際に成長の退行としてのみ本人へ還元され、本人に都合の悪い状況(他殺/事故/病など)として還元されません。ただし、不誠実な行為をおこなったことで、自己に都合の悪い状況へ遭遇するように「運命の流れ」が形成されていく場合もあります。なお、他殺によって自己が地上での生活を終えることを、自己に都合の悪い状況と捉えるのか/捉えないのかは、個々によって異なる点に留意してください。他殺による即死が、長期に苦しんでから死を迎える疾病/怪我などよりも、「自己に都合が良い状況」の場合もあるのです。行為と行為の記録への加算、運命の流れとの関連については、この節の質疑応答の「因果応報は、行為の記録(+)の残高が減算されることで良い出来事が起こり、行為の記録(-)の残高が減算されることで悪い出来事が起こる状況を表しているのでしょうか?」を参照してください。

 行為の記録(-)の残高へ加算される量は、行為へ付与された不誠実な活動性の程度で決まるために、どのような内容の不誠実な行為であったとしても、同等の不誠実な活動性の程度が付与されているのならば、行為の記録(-)の残高へ同等の量が加算されます。一方で、分霊へ与える影響(固定観念/囚われの形成など)の深刻さから捉えると、地上の生活では、殺人/暴行/傷害は、陰口、中傷、詐偽、嘘/偽情報の拡散、世論の操作/誘導、などよりも深刻に感じられますが、本質的には、有形体(分霊の用いる道具)を害する行為よりも、内面(分霊そのもの)へ直接に影響を与える行為のほうが深刻な害となります。ただし、有形体への暴行/傷害/拘束/拷問などによる危害や事故/災害などによる損傷は、内面へ直接に影響を与えていないものの、有形体へ加えられた危害/損傷を通して、内面へ深刻な影響を与える場合も多くみられます。固定観念については、5章4節 固定観念/既成概念を参照してください。

(1000/1000)

 職務であったとしても、職務ではなかったとしても、「相手を疑う」という行為は不誠実な性質を有しており、記録(-)の残高を増大させるように、はたらきます。「疑い」は、表現へ付与された不誠実な性質の活動性の程度で100-125未満の特性として鮮明にみられます。表現にみられる特性については、3章9節 精神 #表現の活動性を参照してください。

 職業柄や職務だからという理由で相手を疑ってかかる行動の責任は、その行動をおこなっている本人が負わねばなりません。職務で相手を疑うと決めたのは本人の自由意志に基づいているためです。職務としておこなっているからといって、責任が軽減されることも、免除されることもないのです。これは、兵士が軍/国家の命令で殺害/掠奪[りゃくだつ]/拷問/凌辱[りょうじょく]/強姦などをおこなっても、軍の命令へ従うと決めたのは本人の自由意志であり、本人が行動の責任を負うことになるのと同様です。

 ただし、相手を疑ってかかるのが不誠実だからといって、相手を盲目的に信頼/信用しなければならないということではありません。相手を疑うという行動は、相手の「あるがまま」を捉えようとせずに、相手が不誠実な行為をおこなっているという前提で、相手を捉えようとしているのです。相手の「あるがまま」を詳細に観察/考察するように努める公正さをもって、相手へ応対する必要があります。なお、相手を疑ってかからねばならない(と思い込んでいる)職業へ就いているのは、その行動/職務を通して、職務の在り方を考察し、自己の内省へつなげ、成長への学びを得る必要があるためです。あるがままに観察/考察することについては、5章1節 修養の生活 #質疑応答の「物事をあるがままに捉えるには、どのようにすればよいのでしょうか?」を参照してください。

 地上の生活では、物的な損害に意識が偏向して向きやすいですが、自己がこれまでにおこなってきた相手を疑う、相手を恨[うら]む/憎[にく]む、相手を貶[おとし]める、などの不誠実な行為や、不誠実な生き方によって、地上で支払う社会的/経済的な代償は僅かな程度に過ぎません。しかし、霊的/精神的に支払う「成長の退行」としての代償や、不誠実な性質の表現を造化する習慣の形成/強化として表れる代償は深刻/甚大です。

(1000/1000)

 自己が他者へおこなった不誠実な行為に対して、相手へ謝罪しても、相手へおこなった不誠実な行為によって加算された記録(-)の残高は、「謝罪という行為」によって減算されません。記録(-)の残高からの減算は、成長の退行としてのみ自己へ還元されます。例として、地上で犯罪と呼ばれる行動が必ずしも不誠実な行為とは限りませんが、犯罪をおこない刑務所へ収監された後に、刑期を終え出所しても、犯罪をおこなったことで加算された記録(-)の残高は刑期を終えても減算されてはいないために、物的/社会的な刑期の満了とは別に、無形的な成長の退行として還元/減算されます。

 自己が他者へ不誠実な行為をおこなったのならば、必ず、記録(-)の残高へ加算されます。自己が他者へ不誠実な行為をおこなった後に、他者へ謝罪/賠償などをおこなったとしても、自己が他者へおこなった不誠実な行為は、謝罪/賠償などによって「行為をおこなわなかった」ことにはならないのです。加えて、自己が不誠実な行為をおこなった結果として、他者/周囲へ損害を生じさせても/生じさせなくても、記録(-)の残高へ加算される量は同じです。記録(-)へ加算される量は、おこなった行為に付与された不誠実な性質の活動性の程度で決まり、行為の結果は関係しません。自己が不誠実な行為をおこなった結果として、他者/周囲へ損害を生じさせる/生じさせないは、自己/他者/社会の運命の流れによって決まります。

 これは、誠実な行為をおこなった場合も同様です。自己が誠実な行為(愛の行為)をおこなった結果として、他者/周囲へ利益を与えても/与えなくても、記録(+)の残高へ加算される量は、おこなった行為に付与された誠実な性質の活動性の程度で決まり、行為の結果は関係しません。

 誠実な意志の方向性に基づいておこなわれた「相手への謝罪」は、相手のためではなく、自己が不誠実な行為をおこなったことへの誠実な後悔を土台としており、自己の生き方を変えていくための切っ掛けとして現れている物的な行動です。そのため、相手が自己の謝罪を受け入れたとしても、受け入れなかったとしても、自己の生き方を変えていく切っ掛けとして役立っています。加えて、相手は自己から謝罪されることで、自己へ抱いていた感情/囚われへ気づき、相手自身の生き方を省みる状況へもつながります。

 一方で、不誠実な意志の方向性に基づいておこなわれた「相手への謝罪」は、自己の虚栄心を満たすための「不誠実な後悔」や、利己性/自己中心性/欲望を土台としています。相手へ物的に「謝罪しているようにみえる行為」をおこなうほうが、自己に都合が良いためにおこなわれているのです。自己の利益のためや、内面で相手へ反発/反感を抱き嫌々ながらおこなう形式だけの不誠実な謝罪は、外見的には、どれほどに誠実にみえていたとしても、記録(-)の残高を更に加算させるようになります。

 なお、相手が自己へおこなった不誠実な行為に対して、自己が相手へ謝罪を要求するのは、自己の虚栄心を満たしたいための行為です。相手が自己へ謝罪する/謝罪しないに関わらず、相手へ謝罪を要求した行為によって、記録(-)の残高に加算されます。他者のおこなった不誠実な行為に対して、自己が他者へ何らかの代償を支払わせようとしなくても、他者自身が必ず支払わなければならないのです。自己が他者へ代償を支払わせようとするのは、自己の恐れ/怯えに基づく傲慢/虚勢です。この状況には、個体だけでなく、国家/企業などの共同体が、他国/他企業へ制裁を課す、報復/対抗措置を執行する、なども含まれます。

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 はじめに、自己の自覚の有無に関わらず、短絡的に結論付ける(考察/内省していない)ために相手を感情で非難/批判/糾弾する、あるいは、感情で反論してしまうのです。丁寧に詳細に考察/内省したのならば、落ち着いて応対するように努めるために、感情で応対しなくなります。どれほどに修養の生活へ専心/献身していたとしても、突発的に感情で反応しようとしてしまう状況は誰にでも起こり得ます。自己の内面で感情が造化されそうな状況(感情が造化された状況ではありません)を感じ取ったのならば、感情が造化されるまでの刹那の間隙に、「どうして感情を造化しようとしているのか?」「誰のために感情を造化しようとしているのか?」を内省するように努める必要があります。

 怒り/苛立ちの感情を造化した本人が、感情(不誠実な性質の表現)を造化した責任/代償を負うことになります。他者が大きな音を出してドアを閉める行動と、自己が「他者のおこなった行動」に対して怒り/苛立ちを感じることには、関係性がありません。他者の行動と、自己の反応に関係性を見出[みいだ]したいのは、瞬間瞬間の自己に都合が良いように捉えようとする、自己の恐れ/怯えに基づく幻想の捉え方なのです。幻想の捉え方については、5章2節 幻想を参照してください。

 大きな音を出してドアを閉める者は、大きな音を出してドアを閉める行動の自覚的/無自覚的な目的/理由に相応する責任/代償を、記録(+)、あるいは、記録(-)の残高への加算として負うことになります。記録(-)へ加算される場合だけでなく、記録(+)へ加算される場合も有り得る点に留意してください。一方で、他者の行動へ反応して怒り/苛立ちを感じた者が、怒り/苛立ちを感じた自覚的/無自覚的な目的に相応する代償を記録(-)への加算として負うことになります。怒り/苛立ちの感情は、自覚の有無に関わらず、常に利己的/自己中心的な目的に基づいているために、記録(-)へ加算される場合のみがみられます。

 大きな音を出してドアを閉める者が、大きな音を出してドアを閉める行動の目的/理由は、必ずしも不誠実性(利己性/自己中心性/欲望)を有しているとは限りません。肉眼に視える(肉耳に聴こえる)同じ物的な行動を、誠実な目的でもおこなえ、また、不誠実な目的でもおこなえます。行動の目的が、行動の有する誠実/不誠実の性質を決定するのです。行動の目的は、自覚の有無に関わらず行動をおこなう本人と、天使たちが明確に認識しており、地上で生活する他者には明確に認識し難いです。行動の目的/理由が不誠実性を有していない場合の例として、大きな荷物を抱えておりドアを丁寧に閉めることができなかった、不意の強い風で開けた途端にドアが閉まった、なども有り得るのです。あるいは、ドアを開けると眼前に人が立っており、相手へドアを当てないように急いで閉めた、という愛の行為に相当する場合もあります。

 もしも、他者の行動に対して、怒り/苛立ちなどの感情を感じたのならば、感情を感じた瞬間に、感情を消し去るように努め、自己が自覚して、あるいは、自覚できるものの自覚なく有している「他者の行動へ感情で反応する習慣」を弱めていく必要があります。はじめは、感情を消し去るように努めるのは困難な場合もありますが、続けていくうちに「瞬時に感情を消し去る習慣」が形成され強まり、一方で、感情で反応する習慣は徐々に弱まり、自然に感情を消し去れるようになります。有形体に熱/疲労などのある状況では、意識に占める物質の心の影響力が増大しており、誘惑の干渉を受けやすくなっているために、突然の大きな音に驚きやすく、続いて、怒り/苛立ちなどの感情を造化しやすくもなります。このような状況であっても、感情を感じた瞬間に、感情を消し去るように努め、同時に、同調する活動性の程度を高め、克己の造化を増大させて、誘惑からの干渉を防ぐようにします。誘惑については、5章3節 誘惑を参照してください。

 地上では、何時[いつ]でも、何処[どこ]でも、肉眼には視えないだけで、周囲には常に、大勢の地獄者/地縛者たちが群れ集まっているという点へ留意してください。他者が悪意のある/なしに関わらず出している騒音(大きな音を含む)を、自己が拒絶して怒り/苛立ちなどの感情を造化しているのならば、地獄者/地縛者たちが「騒音を拒絶している(嫌がっている)」状況を愚弄するために、騒音を出している他者を操り唆[そそのか]して、騒音を増大させるように仕向けます。騒音を拒絶しても、騒音は消え去りません。寧[むし]ろ、拒絶は、悪意をもって騒音を出している他者や地獄者/地縛者を嬉しがらせ、彼らの成長を退行させるだけです。騒音を拒絶するのではなく、騒音を受け入れ、自己と騒音を分離せずに統合し、騒音も「自己そのもの」と認識することで、自己の外環境で鳴り響く騒音が、自己の内で鳴り響くようになり、騒音と感じ取るものの、怒り/苛立ちなどの感情を造化しなくなります。

 この質疑応答に関連する内容には、5章1節 修養の生活 #質疑応答の「成長の程度が向上していくのにともない、社会生活の中で困る出来事はありませんか?」がありますので参考にしてください。

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